宮本(以下、宮):こんにちは。今日はお一人でいらしたんですね。
Hさん(以下、H):本当は妻と一緒にくる予定だったんですが、体調を崩してしまって。帰って説明できるようにがんばって聞きます。
宮:では、まずどんな保険に入りたいかを確認しましょうか。
H:現在は、夫婦とも共済に加入しています。ただ、それだと年末調整の際の控除などを受けられないので、損をしているな、と感じていて。あとそれだけではやはり保障が十分ではないのではないか、ということで生命保険に加入した方がいいかな、と。
実は、インターネットで一括資料請求もしたんですが、パンフレットひとつひとつは分かりやすくても、比較ができないんです。どれが自分たちに一番合っているのか、得なのかが最終的に決定できなくて・・・
宮:そうですか。まず代表的な共済の特徴をお話しましょうか。共済は都民共済、県民共済、国民共済といろいろありますが、基本的には似たような仕組みをとっています。都民共済を例にとると18歳から60歳までは保険料も保障内容も変わらないものとなっています。
また1年間で剰余金が発生すればお金が戻ってくるという特徴もあります。
また60歳以後も保障は減額してしまいますが継続することもでき65歳(最長85歳まで)からは熟年型というものに変わって、更新はできます。ただ65歳を超えると、保障額がガクッと落ちるんですね。
これは私の考えですが、できれば基本となる部分は民間の生命保険や入院保険で押さえておいて、共済は+アルファの保障として利用した方がいいと考えます。
では、生命保険で準備できるものは何があるのか、まずそこから話をしたいと思います。
ひとつには、死亡保障があります。よく3000万円だ5000万円だといいますが、本当はいくら必要なのか? という適正額を知るために後で、必要保障額というのを算出しますね。
必要保障額というのは、ご主人が亡くなられた場合の葬儀代や遺族の生活費です。国から受けられる遺族年金などもありますから、それも考慮して算出していきます。
ふたつ目は、医療保障です。これには入院費などの補填と働けなくなっている間、おそらく減る収入の補填目的があります。
みっつ目は、老後の生活資金や介護資金です。これは国の介護保険や老齢年金の現行制度の説明も含めて、お話ししますね。
H:はい。いろいろありますね。
宮:ひとつずつ話を進めますから、分からないところがでてきたら、途中で話を止めてもいいので、質問して下さいね。
まず必要保障額を計算する前に、公的年金の仕組みを理解しておく必要がありますね。
まず年金で受け取れるものに、年をとってからもらえる、老齢年金があります。これは現行の制度では、Hさんの歳だと、私もですが、基本的に65歳から受け取ることができます。これは、年齢と会社の規模から出す平均値だと、65歳以降もらえる額は、奥さんもこのまま働き続けたとして2人で合計月額約28万円になります。
平成16年現在老後夫婦二人での最低生活資金は23万円といわれていますから、65歳からは確保できていますね。ただ、余裕ある生活を希望する場合は37万円といわれていますから、これには約9万円程度足りない、ということになります。そうすると、その部分は定年前に貯めておくとか、個人年金などで備えておく必要がありますね。
あと、残された妻とその子に支給される、遺族年金。これは妻が30歳未満の場合は5年間(平成19年4月より改正)、となります。それ以上の年齢で夫を亡くした場合には65歳になるまで遺族厚生年金が支給されます。
後は、事故などで障害が残ってしまった場合に受け取れる、障害年金という役割もあります。
会社の方で企業年金や401Kなどで加入しているものはありますか?
H:う〜ん、よく分からないですが多分ないと思いますね。
宮:一度、総務とかで確認してみるといいかもしれませんね。じゃあこの公的年金を踏まえながら、いったい必要保障額はいくらなのかを計算していきましょう。
ところで、Hさんは長男ですか?
H:いえ、次男です。
宮:なんでこんなことを聞くかというと、葬儀にかかる費用は約300万円といわれているんです。お墓を建てる場合はさらに200万円程度かかります。次男というと、もしHさんがなくなったら、お墓を購入することになりますか?
※参考 平成15年葬儀費用全国平均 約237万円
※首都圏における一般的なお墓の値段相場 180〜240万円
H:たぶん、そうなると思いますね。
宮:ではまず500万円。続いて、今の生活費ですがお二人で約21万円と。ご主人が亡くなられた場合は二人が一人になるから、その半分の10万円で、というと、それは無理ですよね? いくらぐらいでなら奥さん一人での生活費がまかなえると思いますか?
H:月約15万円くらいですかね・・・。
宮:そうすると、奥さんが現在29歳ですから、平均余命は53年。(平成14年簡易生命表より)で計算すると、約9540万円になります。お子さんがいらっしゃる場合は、ここに子どもの教育費もプラスすることになりますが、今は考えないでおきましょう。この額を上記の葬儀費用と足すと1億40万円が必要ということになりますね。
H:そんなに!
宮:でもこの額を全て自分で用意しなくてはいけないわけではないんですよ。先ほど話した公的年金がありますよね。その額をここから引いていきます。
現行制度の年金でもらえる額をシュミレーションすると、遺族年金と自身で受け取れる平均余命までの老齢年金を合わせて約4259万円と計算上は受け取れるになります。
あと、会社に退職金制度や弔慰金制度がありますよね。これも仮にここでは500万円とでもしておきましょうか。これも一度調べておくといいでしょう。
あと、貯蓄はいくらくらいありますか?
H:え〜っと、300万円くらいですね。
宮:あとは奥さんの収入ですね。現在の仕事はずっと続けられる予定なんでしょうか?
H:いえ。臨時職員なので、先々のことはわかりません。
宮:では、仮に最低でもこのくらいは大丈夫だろう、という線で平均年収200万円で計算してみましょうか。すると37年で7400万円です。これを合計すると、1億2459万円になりますね。
これでいくと奥さんが働かれる場合は、現在備えるべき保障額は0、働かれない場合は4981万円が必要、ということになります。
ここからは考え方ですが、今の子どもがいない状態なら、奥さんは働けるので死亡保障はいらない、と考えてもいいですし、多少は働くだろうけど、いくらかは残しておきたい、という考えでたとえば、1000万円程度の死亡保障をつける、という考え方もありますね。
続いて、医療保障を考えましょう。
高額療養費制度というのは聞いたことがありますか?
H:いや、ないですね。
宮:高額療養費制度とは同じ月に医療機関に支払った自己負担額のうち、限度額を越えた分については払い戻しが受けられる制度のことです。3歳以上70歳未満かつ所得別によって払い戻し額の限度額が変わります。
ただし差額ベッド代や食費1日780円、高度先進医療の技術料については含まれません。また住宅ローンなどもありませんから、今のHさんでしたら、仮に健康保険の適用内の入院と限定するのであれば日額6000円もあれば十分でしょう。
家を購入した時にはローンの返済分など収入補填の目的でプラス5000円程度増やすといいでしょう。
今からふたつのパターンを紹介しましょう。どちらも30歳から60歳まで1000万円の死亡保障の生命保険です。
一つは定期保険です。月々の保険料は4050円で、総支払額は145万円です。60歳までに万が一のことがあれば、1000万円が支払われますが、60歳を1日でも超えたら1円もお金は戻ってきません。
もう一つは終身保険。月々の保険料は1万7330円、総支払額は623万8800円と上記に比べ、4倍以上にもなりますが、60歳(払い込み満了時)で解約すると745万4000円、つまり支払っているよりも多い額が戻ってきます。
私が保険診断をする時には、どちらがいいですよ、とはいいません。やはり月々の支払いを抑えたいと思うか、長い目で考えてお金がかからない方を好むかは人それぞれの価値観や実際の家計状況によりますからね。
一般的に生命保険料の適正金額は、収入に対して8%以内といわれています。例えば年間手取りで350万円の人の場合の8%は年間約28万円。月払いだと約2万3000円くらいが適正になります。
ただ、上の終身保険のようにお金が戻ってくる場合ですと、老後の生活資金を貯める目的で、保険料は貯蓄のつもりで考えてもいいかもしれませんね。
H:生命保険会社が倒産したり、外資の場合、撤退するようなことになったら、どうなるんでしょうか?
宮:これまでの例を話しましょうか。以前東邦生命という会社が破たんして、その破たんした会社をGEエジソン生命という会社が受け皿になって、事業を引き継ぎました。この時は、加入した時期とかいろいろな条件がありますが簡単な例として5000万円の死亡保障に加入している人が3500万円に引き下げられたりと、保障が減額したケースもありました。
もう一つ、セゾン生命というのもありまして、この会社の場合はやはりGEエジソン生命に吸収されたんですが、これは破たんでなく吸収合併だったので、保障の減額はされていません。そのままGEエジソンが引き継いだんですね。
その後このGEエジソンも日本から撤退したんですが、こん度はAIGグループが買って、AIGエジソンとなって業務を引き継いでます。これももちろん減額されていません。
ですから、会社の財務体質が健全(引き継ぐ会社が出てくれば)であれば、吸収や合併などで被保険者の利益は守られるわけですね。一番恐いのが破たんです。ですから、加入する際には財務体質の健全性、破たんする可能性の少ない、格付けの高い会社を選ぶことも重要になってきます。
H:なるほど。よく外資は撤退の可能性もあるから、安心できなそうだなとなんとなく思っていたのですが、実際は違うんですね。
宮:これまでの話を踏まえて、実質保険料0ゼロ作戦のプランをたててみましょうか。まず終身医療保険で日額6000円で120日型、死亡保障を合計で約1000万円確保する保険に入るとしましょう。
まず終身医療保険で月額4584円。これを60歳まで支払うと、保険料は176万256円ですが、死亡時に60万円受け取れるので、ここでかかる実質保険料は116万256円です。
これに3大疾病終身にも加えましょう。これは60歳までにガン、脳卒中、心筋梗塞と診断されると一括して300万円が給付されるものです。
ガンなどは保険の効かない高度先進医療もありますから、それに備えがあると安心ですよね。この保険は60歳を超えると死亡時に300万円が受け取れる終身の死亡保障になります。これはお葬式代と考えておけばよいでしょう。支払い期間を短くした方が、効果も高くなりますから、ここでは55歳で支払いを終えることにします。すると、月々の保険料は6810円で、支払う保険料は合計220万6540円。
保険会社が破綻などしない限り300万円は受け取れますから、79万3560円はお金が取り戻せる計算になります。
続いて、700万円の死亡保障を15年払いというので支払うことにしましょう。すると月々の支払いは2万2022円で合計396万3960円支払うことになりますが、65歳の時の解約返戻金は550万4800円ですから、実質は154万840円のプラスになります。
このプランですと、月々の保険料は28〜43歳は3万3416円、43〜54歳は1万1394円、55〜60歳は4584円の負担、ということになるわけです。
もしお子さんが生まれた場合でもお金がかかる育ち盛り頃のHさんの年齢は43〜54歳の間でしょうから、その頃には保険料も1万円台で済むわけですね。
H:なるほど。妻の保険も入れてふたりで2万5000円くらいかな、なんて漠然と考えていたので、自分の分だけで今、月々3万円以上と聞くと少し高い気がしますが・・・。
ただ、保険は掛け捨てというイメージばかりあったので、一生涯で考えるとこういうやり方もいいのかも、という気がします。
宮:このプランは一番効果が出る払い方で出してますが、支払い期間をのばしたりして月々の支払いを引き下げることはできます。これはあくまでも叩き台ですから。まずは、こういうやり方もあることを知ってもらうことが重要かな、と思います。
H:なるほど、よく分かりました。妻にも説明して、改めてご相談します。ありがとうございました。
|